コロナ感染爆発

『大規模な個展を開催中』

……東京日本橋・高島屋本店6階の美術画廊Xで、新作オブジェ70点以上が一堂に展示された大規模な個展が、10月20日から始まった。会期は11月8日までと、まだ会期は長いが、個展前日の作品展示作業の時から観に来られる方もいて、その場で早々と数点のコレクションが決まるなど、個展の手応えが早くもあった。……そして初日の幕が開くや、奇跡的にコロナの感染者が激減しているという追い風もあり、個展を待ち望んでいた沢山の来廊者で連日、会場は賑わっている。8月、9月のコロナ感染爆発でその頃は開催も危ぶまれたが、10月に入るや、不思議なまでに信じがたい感染者激減の奇跡が現れはじめ、個展が始まると共に、遠方からの熱心なコレクタ―の方々も遙々観に来られ、久しぶりの嬉しい再会が叶っている。……正に奇跡的な好機での個展開催である。

 

 

毎年、秋に開催されている高島屋美術画廊Xでの個展は今回で13回目になる。この企画展の当初から美術部の福田朋秋さんが長年担当されていて、その眼識の高さは実に鋭く、かつ的確なので、私は福田さんに全幅の強い信頼を寄せている。2月頃から開始した制作も次第に没頭の日々が続くと、さすがに未明の混沌の中に入ってしまう時がある。……私はかなり客観的な複眼で自作を分析出来ると思っているが、それでも時として次第に、大海の中での凪に入った舟のように視えなくなってしまうのである。……そういう時に、福田さんから受ける作品への感想や確かな批評は、再びの自信を呼び起こし、最後の追い込みへと入って行くのである。

 

 

今回の個展の打ち合わせを兼ねて、福田さんがアトリエに来られたのは9月のはじめ頃であった。……アトリエに列べた数々の新作を視るや、速断で、今回の作品が今までのオブジェの中で(その数は既に1000点近くに達している)最も、自在なイメ―ジへと誘う深度と完成度の高さに達している事を指摘された時は、さすがに私も安堵を覚え、かつ確信も実感したのであった。だから、今回の個展は必ずや実現したかったのであるが、9月のその頃はまだ先が見えない感染爆発の渦中にあり、多くの展覧会が中止となっていた頃であった。しかし、私はこのブログでも度々書いて来たが、陰陽師と呼ばれるまでの強い運気と、想いが必ず叶い、手繰り寄せてしまう事が出来る予知的な神通力を持っているので、心中の何処かで期するものがあった。……今思い返せば、確かに9月のその頃、不思議に楽観視しているものがあった。……そして、個展がある10月に入るや、信じがたい現象が起こり始め、感染者激減へと動きはじめたのであった。

 

 

今回の個展は、福田さんが速断で指摘したように、今までの個展の中で最も完成度の高いものとなっており、それと同じ感想を来廊された人達も語っている。……それを証すように、画廊の中で30分以上はゆうに過ごす方が多く、完成度の高い作品が多いので、コレクションする作品を決める迄に2時間以上、作品と対峙して決められる方もおられ、作者としての手応えを実感しているのである。

 

 

昔、私がまだ20代の頃、先達の池田満寿夫さんが私に語ってくれた事がある。「作品への一番確かな批評は、批評家の言葉でなく、作品を観る人達がどれだけ時間をかけて作品の前に佇み、作品と対話するか、つまり、その時間の長さである」と。……私は会場に毎日いて、その言葉を実感しているのである。

 

 

 

 

 

……今回の個展のタイトルは『迷宮譚―幻のブロメ通り14番地・Paris』。……縦長の広い画廊空間を劇場に見立て、その中に70点以上のオブジェが各々に放つ幻視を鮮やかに立ち上げようというのが主題の根本にある。本展では、今まで無かった鉄や石による「立体書簡」という連作にも挑戦し、会場に異彩を放っている。……まだご覧頂いてない方は、ぜひご来場頂いて、久しぶりの再会や、嬉しい出逢いとなる事を願っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『迷宮譚―幻のブロメ通り14番地・Paris』

会期:10/20~11/8  時間:10:30~19:30

会場:高島屋本館6階/美術画廊X

〒103-8265 東京都中央区日本橋2丁目4−1

お問い合わせ ㈹:03-3211-4111

 

 

 

 

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