日本橋高島屋美術画廊X(本館6階)

『個展開催のお知らせ―日本橋高島屋.美術画廊X』

いよいよ秋がその深まりを見せて来ているが、今月末の10月28日から11月16日までの3週間、日本橋高島屋本館の6階美術画廊Xで、私の個展が開催される予定である。個展のタイトルは『直線で描かれたブレヒトの犬』。……このタイトルは、今年の1月に、正にインスピレ―ションのように突然閃いたものである。正に降りてきたようにして閃いたこの謎かけのような言葉の連なりの中に、現在の私と、新しい切り口としての表現の新たなる展開が、かなり濃密に秘められていると見ていいだろう。タイトルが持つ象徴性と暗示の孕みの中に、未生のイメ―ジが逆巻いているのである。………そうか、今の私は、このタイトルの中にいるのか!!……私は自分を分析し、そしてこのタイトルに決まった時点から、新たなる制作が堰を切ったように始まった。

 

今回の展示では、80点近い新作の全てがオブジェである。1月から9月までの9ヶ月間(約270日)で約80点。今までこのブログで書いて来た向島、本郷、谷中…他を巡る記述以外の日々は、アトリエに籠っての制作の日々が続いた。そして、新作の全容がようやく見えて来た7月の末に、高島屋の個展で10年以上前から、私の確かなるアドバイザーとして全幅の信頼を寄せている高島屋美術部の福田朋秋さんがアトリエに来られ、「今回の新作は、更に深化を増している」という率直な感想を頂いた。のめり込んで制作に没頭していると、次第に闇の中に入り込んでしまい、時として意識が凪のような状態に入ってしまう時がある。10年以上前からのお付き合いをして頂いている福田さんは、毎回の個展でいつも絶妙なタイミングでアトリエに来られ、凪に清冽な風を入れてくれるのである。

 

……この時点で先ずは一つの区切りがつき、個展案内状の為に掲載する作品の撮影が先ず行われ、求龍堂の深谷路子さん、デザイナ―の近藤正之さんが構成に加わり、現在の制作に関しての福田さんの執筆が加わって、案内状の形が漸く見えて来るのである。私はかなりこだわるので、今回は色の校正だけで3回の確認と変更が行われた後に校了となり、間もなくそれは完成する。……個展が近づいた今月20日過ぎ頃のブログでは、出来上がったこの案内状を全面的に掲載したいと思っているので、愉しみにして頂けると有り難い。

 

……つい先日くらいまで猛暑の日々であったというのに、台風が秋を運んで来るのか、気がつくと、既に晩秋の気配である。……個展まで残り20日間くらいとなった。しかし、作品の完成への詰めが未だ残っている。最後まで気は弛められないのである。……画廊としては、おそらく日本最大の空間である美術画廊X。この緊張感の漂う硬質な空間は、私にとっての謂わばフィクショナルな〈劇場〉である。『直線で描かれたブレヒトの犬』、果たして如何なる展開になるのか、……乞うご期待である。

 

 

 

『直線で描かれたブレヒトの犬』

日時:10月28日( 水)〜11月16日(月) 10:30~19:30

場所:日本橋高島屋.美術画廊X(本館6階)

お問い合わせ:美術画廊 直通TEL (03)3246-4310

 

 

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北川健次詩集『直線で描かれたブレヒトの犬』
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