昨夜、知らぬ内に寝落ちしていたらしく我が魂はゆらゆらとミルキーな涅槃の中へ……と思っていたら、突然窓ガラスが割れるようなもの凄い爆裂音がして目が醒めた。…テレビをつけたら速報が入り、横浜港で開催している花火大会で、花火を打ち上げる2隻の台船が炎上し、花火師5人が海に飛び込んで救助された由とあった。しかし、無人の船は燃え盛っているので花火玉に次々と火が移っているらしく、引火した花火の炸裂音が次々と響いて最早処置なしである。
…あれは、確か1989年の夏であったと思うが、山下公園近くの海岸通りに住んでいた時の事。歩いてすぐの横浜港で開催されていた花火大会で、花火玉の点火に失敗して船上で炸裂、この時は2名の花火師が即死。…瞬間、手足を拡げたままの姿で吹き飛ぶ花火師の姿が破裂した眩しい逆光の中でありありと見えてしまったのを覚えている。それは確かにもの凄い光景であったと今も思う。…夜まで続く猛暑の中、プロとはいえ、花火師達の注意力もさすがに落ちていたのかもしれない。
……しかし、暑い。危険なラインの40度を軽々と越えて、自然の猛威は容赦ない。…まるでボイラ-室内にいるようなこの猛暑。やむをえず街を歩くと、人々の顔は苦渋に歪み、中には太陽の方を見ながら何が楽しいのか、口元がゆるんでいる人もいる。(…あぁ、遅かったのか‼)……………日曜の朝に俳句の番組を観ていたら(「百年後全員消エテイテ涼し」)という俳句が紹介されていた。たいして優れた俳句ではないが、イメ-ジはまぁ面白い。確かに百年後はこの街を行く人々は、私も含めてほぼ全員(子供たちも含めて)が死んでいる。…それを想いながら街を眺めると、眼前の暑さでもやったような街が全くの無人となって不気味な静けさを帯びて見えてきた。……、そして、そこに何処からか涼しげな風鈴のチリリン…という音が幻聴のように一音鳴って、全てが暗転して、…おしまいである。

………………………しかし、それにしてもこの暑さはどうだろう。脳ミソが柔らかくなったのか、逃避するように自ずと妄想が膨らんでくる。……そして妄想が一人歩きする。
(…もし今、お付き合いするとしたらどんな女性がいいですか?)…と訊かれたとしたら、私は迷わずに『雪女』と答えるであろう。(…冷たい女性になったその理由。…糸魚川の海岸線に在る親不知子知らずの一夜怖譚、あのトンネルの謎、…吹上トンネル、黒沢トンネルとの関わり、最近反省している事があるか?、…小泉八雲に本当に会ったのか⁉……等々)

そして、『白梅軒』という名の喫茶店で冷やしコ-ヒ-を呑みながら、氷柱のような御仁を相手に話は尽きないように思われる。
…さて、今年は4月から4つの展覧会が終わり、次は10月15日(水曜)から11月3日(月曜・祝)まで開催予定の高島屋・美術画廊Xでの個展である。…今回の個展のタイトルは『逆さ文字-吊り下げられたブレヒトの七月の感情』。…版画からオブジェへと表現の形は変わって来たが、通して変わらないのが垂直線への拘りである。…垂直線に対する私の内なるオブセッションとでもいうべき執拗な拘りを今回の個展では前面に押し出してみた。…出品作品数は約60点。…完成度の高さに重きをおいた今回の個展は、今までの中で最もクオリティの高い作品が揃ったという自信がある。…展覧会については随時お知らせしていく予定。…乞うご期待である。









