ア―トギャラリ―884

『コラ―ジュの珍しい個展始まる』

今月2日から17日(日)まで、東京・本郷のア―トギャラリ―884で個展『秘苑/フロ―リアンの夢の夜に』が始まった。……今回の個展は、30点以上のコラ―ジュ作品の展示を主とした今までになかった珍しい内容で、他にオブジェ3点、版画2点、写真3点の合わせて40点近い作品を展示している。

 

今回は新しい試みとして「美術表現は、マチエ―ル(表層の画肌)が全てである」という持論を具体化すべく、作品を額とガラスから外し、コラ―ジュの手技、その表層のリアリティをお見せしたく、直で視てもらえる展示方法になっている。なので、来廊された方は、普段観る事の出来ない直の作品をすぐ近くで観て、今までと違う新たな感想を話される方が多い。作品をコレクションされた方には個展が終わり次第、額装してお渡しするのであるが、今回の珍しい展示法の試みはなかなか好評である。

 

今回の個展は、タイトルに「秘苑」の文字がある如く、また時期が時期であるためにひっそりと、秘めた感じで開催しようと思い、個展のDMを遠方の方にはお出ししてなかったのであるが、ご覧になった方が発信している情報が伝播しているのか、個展の事を知った遠方の方も来廊され、今回の珍しい試みの個展を堪能されている。

 

……それにしてもコラ―ジュという技法は、尽きない不思議に充ちた技法であると、今あらためて実感している。ピカソやエルンスト達が多用し開示したこのコラ―ジュは、20世紀美術が生んだ、エスプリと謎を孕んだミステリアスな技法である。異なったイメ―ジの断片を、一つの同一空間に配置転換する事で立ち上がるイメ―ジの化学反応。それは夜に視る夢のように、何処か懐かしいノスタルジアをも秘めている。……十二面体の幾何学的な夢。あるいは書かれなかったロマネスク異聞。そして視る度に異なって映る水晶幻想……。コラ―ジュは視覚で綴るポエジ―の叙述、そして観者が記憶の遠近法を駆使して垣間見る夢の技法なのである。……そして今回の個展を開催してあらためて想う。……コラ―ジュこそが私の紛れもない原点であり、これこそが表現における最深の秘法、イメ―ジの錬金術なのだと。

 

 

 

 

北川健次展『秘苑/フロ―リアンの夢の夜に』

 

ア―トギャラリ―884

東京都文京区本郷3―4―3 ヒルズ884 お茶の水ビル1F・TEL03―5615―8843

2022年4月2日(土)~4月17日(日)

11時~18時 月曜日(休み)・最終日は16時まで

〈JR・丸ノ内線・千代田線各.「お茶の水駅」より徒歩5分〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー: Event & News | タグ: , | コメントは受け付けていません。

商品カテゴリー

北川健次詩集『直線で描かれたブレヒトの犬』
Web 展覧会
作品のある風景

問い合わせフォーム | 特定商取引に関する法律