太地喜和子

『千年劇場—ヴェネツィアの〈逃げる水〉を求めて』

『奇才逝く』

携帯電話を開くと、ニュースが断片的に流れてくる。先日何気なく見ていたら,〈和田勉氏死去〉の知らせが入って来た。そして間を置かず、次に〈ソフトの不具合が原因か!?〉の文字が入って来た。メカに弱い私は、即座に二つの情報をくっつけて解釈し、てっきり和田勉の死因は、パソコンをいじくっていて感電死してしまったのだと結論付けてしまったのであった。そして・・・あの和田勉氏らしい最期だなぁと、妙な感慨にふけっていったのであった。

 

確かに和田勉というディレクターは奇才であった。「天城越え」「阿修羅のごとく」などの重厚な名作が次々と浮かぶ。TVドラマの水脈を拓き、太地喜和子夏目雅子といった女優を次々と〈本物〉に化えていった。しかしTVから名作ドラマが生まれなくなるのと、和田勉氏の姿を見かけなくなるのは重なり合い、TVは唯の呆けた影像を垂れ流すだけの入れ物と化していった。そして、TVドラマから、情熱、思い入れ、こだわりが消えていった。いやTVドラマだけではない、美術の世界もそうである。そこそこに軽く病んだ(勿論ふりだけであるが)絵や,情報のための具と化した作品が次々と現れては消えていく痴呆現象が、まだ暫くは続くのであろう。メディアの情報を幻想ではなく、実体と思い込んでしまう若くて芯の無い多数派は、当分の間、目先だけの状況に一喜一憂しながらブルブルとぶれ続けるのであろう。美術の世界も軽くて薄い方へと歪みながら落ちていっている。

 

 

森岡書店で個展開催中!

 

さて、17日から茅場町の森岡書店で始まった個展『千年劇場−ヴェネツィアの〈逃げる水〉を求めて』は、好評のうちに進んでいる。出来るだけ会場には足を運んでいるが、場所柄もあってか様々な出会いが毎日のようにあって面白い。シャープなセンスを持ったデザイナー、写真家、出版編集者、そして滅多に御目に掛からない骨太の評論家etc。昨年も来てくれたが,今回も自称—外人部隊を名乗る謎の人物が極上のワインを持って来てくれた。今回の写真の試みはかなり実験的な事をしているが、初日から早くも反応があり,コレクションされていく方が多い。プロフェッショナルとして当然なことではあるが〈常に表現する者は変化していなくてはならない〉という事を、私は自分に課している。そしてそれが、眼力を持った本物の観者の方には確実に伝わっている事を、今回の個展でも実感しているのである。

 

 

会期:2011年1月17日(月)〜29日(土)(13:00-20:00)会期中無休。
会場:中央区日本橋茅場町2-17-13 第2井上ビル305号 Tel: 03-3249-3456

地下鉄・東西線、日比谷線茅場町駅下車。3番出口から徒歩2分。
永代通りを霊岸橋に向かい橋の手前を右へ。霊岸橋川岸に立つ、
昭和2年建立のレトロモダンな建物の3階が会場です。

 

 

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