京都から戻った翌日、テレビ番組制作会社のK氏と田園調布のカフェでお会いして、打ち合わせを行った。5年前に新潮社から刊行した私の著書『「モナ・リザ」ミステリー』の映像化を企画されているのである。K氏は本の中の、ダ・ヴィンチ、フェルメール、そしてスペインの寒村カダケスを舞台にして登場するダリ、ピカソ、デュシャンの三作の何れも高く評価され、又、現在連載中の「蕪村と西洋美術の交感」にも強い興味を示されている。今までにも美術番組担当者や、「美の巨人たち」に関わった人とも話をしたが、K氏が最も私の表現した核を理解してくれており、話をしていて共振するものがある。美を巡る不思議な旅が映像化すれば、文章とは異なる世界が拡がるであろう。
さて、新しくサイトを立ち上げてから多くの方からメールが入り、「作品を入手したいのだが、どうすればコレクション出来るのか」という問い合わせが以前よりもかなり来るようになった。東京、京都、名古屋、富山、香川などに近い方は、個展の際にギャラリーまで行き、コレクション出来るが、メールの多くは例えば北海道や九州,或は青森や山口・・・といった,全く個展の機会がない所からかなりの数が来ているのである。日本は狭いようで広い。そして、今までコレクションの機会がなかった方が、私のサイトを見て真剣に作品に興味を持たれているのである。オブジェやコラージュなどは一点しか存在せず、マチエールを実際に見て欲しいし、またそうでなくては伝わらないデリケートなものがある。問い合わせは旧作の版画や新作の写真までも含めて幅広い。今はこの後に企画されている個展のために新作を作らねばならない。しかし、頂いた多くの方々のメールにも、何らかの返答をしなければならないであろう。熱心な方々からのメールは有り難い。何らかの良い方法はないものだろうか・・・・。