月別アーカイブ: 2月 2011

『展覧会日記Ⅱ』

 

今日は、早春賦を思い出すような、やわらかな雨が降っている。恵比寿での二つの個展も27日(日)まで、あと残り4日となった。本当に多くの来廊者があり、盛況である。五回お越し頂いたリラダン研究家の早川氏を始めとして、二度、三度と繰り返し来て頂く方がおられ、作者として嬉しいものがある。そして皆さん、作品の前でじっくりと時間をかけて鑑賞されている。かつて池田満寿夫氏と話をしていて「いかに長い時間、鑑賞者が作品の前に居つづけてくれるかが、ひとつの確かな真価の証しである。」と語っていたが至言である。

 

半年間も展開し続けて来た個展も今回でようやく終わり、来週からは制作の日々へと戻る。これからは新しく始まるネットギャラリーの開設に時間を割くことになるであろう。私のサイトにそれを希望される方々が多く、個展で「写真」の作品を直接御覧になれない方のために開設することになったのである。楽しみにして頂ければと思う。

 

 

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『展覧会日記』

恵比寿での個展の前日、「tmh SLEEP」での写真作品の展示飾り付けは深夜にまで及んだ。オーナーの古田氏も私も1ミリ単位で作品の配置にこだわるため、安易な妥協など出来ないのである。

 

隣接した二つの会場での個展同時開催のためか、来場される方が絶えない。はるばる富山県立美術館・学芸課長の八木氏が来られ、滝口修造のデカルコマニーの本をプレゼントとして頂いた。又、写真評論家の飯沢耕太郎氏が来られ久しぶりの再会となった。飯沢氏は慧眼(けいがん)の人である。「被写体は、向こうからやってくる」—–飯沢氏が語るこの言葉には、首肯する実感がある。(飯沢氏からは詩集を含む三冊の興味深い著書を後日に頂いた。)又、写真展の題が『リラダンの消えた鳥籠』という事もあって、リラダン研究の第一人者である早川哲夫氏が来られた。早川氏は既に私の版画を数多くコレクションされているが、何と今回は三回来場され、じっくりと選ばれて,写真をコレクションに加えられた。更にどの作品をコレクションに追加されるか迷っておられる由。

 

そして今日は、写真家の川田喜久治氏が来場され、マチエールについて、写真のオブジェ性について、ダイアン・アーバスについて等々、貴重な御話を伺った。川田氏の写真集『地図』は日本の写真史における金字塔的作品である。写真展の会場には、川田氏から書いて頂いた鋭い詩的なテクストを掲示してあるが、来場者の多くがそれをじっくりと読んでいく。長年にわたって川田氏は、目映い光の中から魔的な毒を紡いでこられただけに、書かれたテクストは重要な指針となっていくであろう。個展は今月の27日(日)まで開催される。私の複数あるイメージの引き出しを同時に開いたこのような展示は、今後はなかなか無いであろう。「LIBRAIRIE6」でのミクストメディアとオブジェ、そして隣室の「tmh SLEEP」での写真の展示。一部屋移動するだけで一変してしまうイメージ世界を、ぜひ見に来られて体感して頂ければと思う。私も貴重な出会いを求めて、なるべく在廊している予定である。

 

 

〈LIBRAIRIE6/シス書店〉『十面体—メデューサの透ける皮膚のために』

 

 

会期:2月9日(水)〜27日(日)
時間:12:00‐19:00(水〜土)

12:00- 18:00(日 )

休廊:月・火・祝日

 

※都合により16日(水)臨時休業とさせて頂きます
会場:渋谷区恵比寿南1-14-12 ルソレイユ302
TEL/FAX :03 6452 3345 info@librairie6.com

 

 

 

〈tmh.SLEEP〉『リラダンの消えた鳥籠』 photo exhibition

 

 

会期:2月9日(水)〜27日(日)
時間:12:00-20:00/月曜休
会場:渋谷区恵比寿南1-14-12 no.301
TEL/03-3716-6982 info@atelier-tmh.com

 

 

*ギャルリーは同じ建物の中にありますが営業時間が異なります。
お間違えのないようにご確認ください。

 

 

 

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個展・同時開催!

〈写真〉とは、夢と現とのあわいに揺蕩う,一瞬の光との交接である。それは何よりも官能的であり、むしろ死との危うい戯れに近いものがある。   北川健次

 

〈LIBRAIRIE6/シス書店〉『十面体—メデューサの透ける皮膚のために』

 

 

会期:2月9日(水)〜27日(日)
時間:

12:00‐19:00(水〜土)

12:00- 18:00(日 )

休廊:月・火・祝日

※都合により16日(水)臨時休業とさせて頂きます。

 

会場:渋谷区恵比寿南1-14-12 ルソレイユ302
TEL/FAX :03 6452 3345

info@librairie6.com

 

 

 

〈tmh.SLEEP〉『リラダンの消えた鳥籠』 photo exhibition

 

 

会期:2月9日(水)〜27日(日)

時間:12:00-20:00/月曜休

会場:渋谷区恵比寿南1-14-12 no.301

TEL/03-3716-6982

info@atelier-tmh.com

 

ギャルリーは同じ建物の中にありますが営業時間が異なります。お間違えのないようにご確認ください。 AllAbout

 

 

 

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『そして、誰もいなくなった』

日本相撲協会は八百長の確信犯が次々と現れて壊滅の危機に直面している。理事長が語る「膿(うみ)を出し切る」という、もはや聞き飽きたセリフ。もしそれを本気で実行したら、おそらくはあのアガサ・クリスティーの名作『そして、誰もいなくなった』になってしまうだろう。八百長も相撲の伝統の内と見るべきか、ここまで来ると。

 

昨日、阿部出版の編集部から連絡があり、『版画芸術』101号の私の特集号が、完売の為に絶版になったということである。売れ残りのままストップしている本が多い中で、これは『版画芸術』の中でも異例の事であるらしい。約六千部以上か。ともあれ多くの人たちに読まれたという事実は嬉しいものである。

 

さて,1月の森岡書店の個展に続いて、今月の9日から恵比寿の同じビル内にある隣接した二つのギャルリーで個展の同時開催が始まる。〈tmh.SLEEP〉では『リラダンの消えた鳥籠』、〈LIBRAIRIE6〉では『十面体—-メデューサの透ける皮膚のために』というタイトルの、新作を主とする展示である。〈tmh.SLEEP〉のオーナー古田氏は、フィレンツェに長年留学して美的感性を鍛えた人物で、傑出した魔的なまでのハイセンスの持ち主。黒を基調とした空間は、巨大な鳥籠をイメージして作られているという。今回の個展のタイトルは、いささかそこに絡めたものがある。〈LIBRAIRIE6〉の佐々木女史は、シュルレアリスムに関連した企画展を集中的に開催しており、絶やさぬ微笑のうちに異界への通路が透かし見える謎めいた不思議な人物である。銀座の画廊によく見られる神経の通っていない展示、美意識の欠片もない空間、景気の動向は語れても、美について何も語れない画商・・・・。私における〈個展〉の意味のベクトルはそこから離れて、前述したような美の狩人的人物達との関係を強く求める傾向にある。展覧会は共に27日まで。

 

 

 

〈LIBRAIRIE6/シス書店〉『十面体—メデューサの透ける皮膚のために』

会期:2月9日(水)〜27日(日)
時間:12:00‐19:00(水〜土) 12:00- 18:00(日 )
休廊:月・火・祝日 ※都合により16日(水)臨時休業とさせて頂きます
会場:渋谷区恵比寿南1-14-12 ルソレイユ302
TEL/FAX :03 6452 3345 info@librairie6.com

 

 

〈tmh.SLEEP〉『リラダンの消えた鳥籠』

会期:2月9日(水)〜27日(日)
時間:12:00-20:00/月曜休
会場:渋谷区恵比寿南1-14-12 no.301
TEL/03-3716-6982 info@atelier-tmh.com

(各ギャルリーの営業時間が異なります。ご確認ください。)

 

 

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『忘れ難い感動と共に』

このメッセージの連載で故郷の福井の雪について書けば、昨日、福井にまさかの豪雪が降り,殺人逃亡者について書けば、直後に市橋の逃亡記が本となって出た。こういうタイムリーな事が、私には度々ある。以前から私には予知能力があると自他共に言われていたが、こうなってくると、そろそろ一度、宝くじについてじっくりと書くべきか。

 

森岡書店での個展が盛況のうちに終わった。反響も多くあり、昨年の同ギャラリーでの展示を上回る数の作品がコレクターの方々に渡っていった。私はいつも、どれだけ若い人の感性に新しい試みが伝わるのかに重きを置いているが、今回コレクションされた方の半数が20代、30代であった事は、具体的な何よりの批評であったと思う。三時間以上も会場の中でゆっくりと作品を鑑賞されていた青年は、最終日に再び来場され、「彫像」の写真をコレクションに決めた。又、K大学哲学科を卒業したが、現在求職中にもかかわらず、それでも私の作品をコレクションされた青年の事は忘れ難い感動がある。又、ふらりと入って来た女性がパッと二点の作品を購入する事に決めた即断の早さには驚かされた。傾向として男性はじっくりと意味付けするように考える。しかし女性の多くは決めるのが早い。やはり、直感力なのであろうか。ともあれ、来年一月の森岡書店での個展開催の企画も、会期中に早々とオーナーの森岡氏は決められた。

 

茅場町・森岡書店での個展は終わったが、引き続き今月の9日から恵比寿の二つのギャルリーで同時に個展が開催される為、休む間もなく今その準備に追われている。生き急いでいるわけではないが、次々とイメージが立ち顕われてくるのである。「表現者は常に変わり続け深化しなければならない」という、私のプロとしての考えは、更に具体化していくと思う。

 

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北川健次詩集『直線で描かれたブレヒトの犬』
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