#芸術における創造行

『展覧会の緊急お知らせブログ・特別篇』

今回のブログは、コレクタ-の大湯祥蔵さんがご自身の膨大なコレクションの中から、私の作品のみを厳選して、この度、山梨の画廊(アートスペース夢)で展覧会を開催されるので、その緊急のお知らせである。…大湯さんのコレクション数は実に800点以上もあり、私の作品はその中の200点近くを収蔵されているというから驚きである。

 

大湯さんは2年前に、東京の本郷に在る画廊(ア-トギャラリ-884)でも、私の作品によるコレクション展を開催されているので今回で2回目である。…前回の展覧会の時、作品の掛ける高さや照明、配置に実に神経の行き届いた見事な展示をされていたので、今回の展示が実に楽しみである。

 

(蒐集という行為もまた、芸術における創造行為の一つである)という、眼識の高い先人が遺した言葉があるが、大湯さんの生き方を視ていると、その膨大なコレクションの全体像を通して、大湯さんの豊かな人生の輪郭が立ち上がってくるのを私は強く覚えるのである。自身の確かな眼を通して蒐集したコレクションの総体から視えて来るのが、他ならぬその人の深い肖像の映しなのである。…展覧会の会期は今月15日(土)~24日(月)迄。…大湯さんがご自身で作られた展覧会の案内状を以下に掲載しよう。

 

 

 

 

 

 

……高島屋での個展が終わって、10日が過ぎた。会期は3週間であったが、実に沢山の方との再会や新しい出逢いがあり、実に充実した個展であった。……その中でも特に忘れ難い人との出逢いがあった。それを書こう。

 
……画廊にその方(女性)が来られた時、私は佇まいの気配や美しさから、何か職人のようなお仕事をされている方だと直感した。…お話をすると果たして、蒔絵師をされている方であった。…〈蒔絵師とは、漆器や仏壇などに漆を接着剤にして金や銀の粉を蒔き、細密な絵や模様を描く職人の方をいう。〉輪島にお住まいの方で、先の能登半島地震に遭われ、また記録的豪雨による土石流により、お仕事の方も甚大な被害を経験されたのであった。…共に蒔絵のお仕事をされているご主人と(これから奮起して乗り越えていくには、そのそばに芸術作品を掛けて、その波動する強い力を受けながら乗り越えていこう)と話し合われ、今回の私の個展に来られたのだという。…初対面の方であったが、お話を伺うと、ご夫婦共に私の事をよくご存じのようであった。……そして会場で時間をかけて、一点のオブジェ作品を選ばれたのであった。

 

…コレクタ-の方から頂くお手紙の中に私の作品への感想として(部屋に掛けている作品からは強い波動がいつも伝わって来ます)というのを何通か頂いた事がある。…芸術作品たりえるならば、そこに強度なアニマを孕んでいなければならない…というのは、私が自らに課したカノン・規範であるが、その強度とは、私自身の資質の映しでもあるだろう。…とまれ、私はその蒔絵師の方から今回のお話を伺った事で、あらためて芸術の力とは何かを考える契機を頂いた事と併せて、今後更に深化する事への、励みともいうべき厳しい鞭を頂いたのであった。

 

 

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北川健次詩集『直線で描かれたブレヒトの犬』
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