『個展近づく!!』

酷暑の夏がようやく去り、さぁ、いよいよ秋の風情を楽しもうと思ったら、素通りするように、いきなり晩秋の気配である。少年時代の時間は、あれほどにゆっくりと流れていたが、昨今の時の流れは誠に慌ただしい。

 

ここ数ヶ月間、私はほとんどの日々をアトリエに籠り、ひたすらコラージュとオブジェの制作に没頭している。今月の30日(水)から11月18日まで、東京日本橋高島屋の美術画廊Xで開催される個展の為の新作を作っているのである。美術画廊Xでの個展は毎年秋に連続して開催され、今回で5回目である。今回の個展のタイトルは『ガール・ド・リオンの接合された三人の姉妹』。このタイトルの中に、パリのリヨン駅(私のイメージの充電の原点となった)、コラージュ論、物語の原器としての〈三〉という数字に寄せる想い…など、幾つかの私的試論的なものが詰めこんである。個展の中心はコラージュとオブジェになるが、コラージュの新作は既に50点以上が完成し、今はオブジェの制作に切り換わっている。案内状は中旬には完成の予定。個展は三週間の会期が組まれているので、なかなかお会い出来ない遠方のコレクターの方とも再会出来る楽しみがある。

(制作途中のオブジェ・部分)

 

この個展が終わるとすぐに厳寒の北海道に行く予定が入っている。北海道教育大学・教育学部で特別講義をするために、岩見沢に行くのである。北海道は10年ぶり。前回は小樽が目的地であったが岩見沢は初めてである。12月には北イタリアの墓地の彫刻を撮影に行く予定でホテルも決まっていたが、急きょ中止して来春の四月に延ばした。ミラノのイゾラ・ベッラ島の空中庭園の場所にあるグロッタの館が10月から3月まで閉ざされるということを知り、慌てて延期したのである。この撮影で、私は写真とオブジェの融合、つまり、写真家や美術家が絶対に出来ない、私だけの表現領域の開拓をいよいよ具体化する事を考えている。ことほどさように、常に私の表現世界は動いており、今回の個展も今までにない世界を立ち上げている。個展の件は追って更にこのメッセージ欄でお知らせしていく予定である。

 

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