『新春の仮説―オミクロンの登場は吉か凶か!?』

2022年初春―明けましておめでとうございます。今年も意識が正常にある間は、ブログ執筆に全力を注いで参りますので、読者諸兄の変わらぬご贔屓、ご愛読の程、よろしくお願いいたします。

 

 

……さてブログである。新年の5日に浅草で新年会のお誘いを頂いたので、さっそく出かけてみた。浅草寺、仲見世はもの凄い人出で夢のような三密状態である。そう正に夢みるように。……浅草六区にある木馬館や浅草フランス座なども盛況で、昨今人出は少なくなったと云われる凌雲閣(浅草十二階)も、さすがに正月だけは人人々で賑わっている。……十二階上の展望台では、群衆の中に石川啄木とおぼしき青年が先ほどから腕組みをして、東京の街を睨むように俯瞰しながら「浅草の/凌雲閣にかけのぼり/息がきれしに/飛び下りかねき」などと詠んでいる。また十二階下の銘酒屋街(私娼窟)のひなびた一軒からは、面長の癖のある男が、舶来のカメラ「コダック」を大事そうに抱えながら上気顔で出て来たところである。その足で洋食屋「アリゾナ」に向かうところを視ると、察するにおそらく永井荷風であろう。……6日には東京に初雪が降り、暫しの抒情が立ち上がって、小林清親の世界とふと重なった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、次はオミクロンである。年明けを待っていたかのように、暴発の勢いで感染者が増しているオミクロンという新参のウィルス株。しかし、このウィルスは目立って重症化が少なく、感染しても自覚があまり無い、かなり軽度のものであるという。それがもの凄い感染力で拡がり、強度なデルタ株を席巻し、今やその移り変わりは、感染者の7割以上がオミクロン株の感染者であるという。しかし報道は、かつてのデルタ株感染者数とオミクロン株感染者数の具体的な比率を(手間がかかり過ぎるからとは云え)別けず十把一絡げに「今日のフランスの感染者は15万人に達した模様です云々……」「沖縄の感染者は……」と粗く報道しているせいで、必要以上の過度な切迫感が昨今の状況を領している。

 

私は言葉の遊びにして、オミクロンという言葉を「今日、毛が生えた人」と置き換えて聴いている。つまり「今日、パリでは12万人の人に毛が生えました。もの凄い数です!信じられません!!!」となって面白い。ふざけているのではない。もっと敵の実情を心を静めて知れば、過度な切迫感が薄れ、この先が少し視えて来ると、そう思っているのである。恐怖は敵の正確な実情を知らないから沸き上がるのであり、つまり「敵を知り己を知らば百戦危うからず」なのである。

 

デルタ株の強度に比べ、オミクロン株は、この数ヵ月間の実体を診た結果、今までのコロナウィルスで最も軽度であるが、そのオミクロン株が登場して、今までのさばっていた強度なデルタ株を席巻(つまり一掃している)しているという現象は、(今のところではあるが、と断った上であるが、)むしろ吉報とすべきではないかとさえ思うのである。更に言えば、極めて軽度で重症化リスクが低いオミクロン株ならば、いっそ皆がかかって軽度なままにオミクロン株からの抗体を造れば、現存してあるワクチンと同等、或いはそれ以上の一応の備えになるのではないか!……と思ってもいるのであるが、さて賢明な読者諸兄は如何思われるであろうか!?

 

……海外(国名、人名は忘れたが)の或る感染症研究者が、オミクロンの世界的な感染流行後に、コロナ感染が急速に減少へと向かう可能性があると報じているが、さて、誰も先はわからない。わからないが、少なくとも昨今の報道は、感染者の仕分けが手間がかかるとは云え、もう少し丁寧な報道を期すべきではないかと思う私なのである。

 

とまれ、2年前のコロナ感染初期には不明であった医療の処し方が、18000人以上の尊い犠牲者の死を経て、今では臨戦態勢は整って来ている。おそらくオミクロン株の感染者数は、月末には、今までに無かったとてつもない数字に達していると思われ、感染そのものも、今までで一番私達の至近に迫って来る事は必至であるが、問題はその先である。前述したような好転を見せるのか、今まで大人しかったオミクロン株が、まさか!!の裏に隠していた、もう一つの顔をあらわにするのか!?……少なくとも、その吉か凶かの顔の実相を明らかにするのは、間も無くかと思われるのである。

 

 

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