『そして、誰もいなくなった』

日本相撲協会は八百長の確信犯が次々と現れて壊滅の危機に直面している。理事長が語る「膿(うみ)を出し切る」という、もはや聞き飽きたセリフ。もしそれを本気で実行したら、おそらくはあのアガサ・クリスティーの名作『そして、誰もいなくなった』になってしまうだろう。八百長も相撲の伝統の内と見るべきか、ここまで来ると。

 

昨日、阿部出版の編集部から連絡があり、『版画芸術』101号の私の特集号が、完売の為に絶版になったということである。売れ残りのままストップしている本が多い中で、これは『版画芸術』の中でも異例の事であるらしい。約六千部以上か。ともあれ多くの人たちに読まれたという事実は嬉しいものである。

 

さて,1月の森岡書店の個展に続いて、今月の9日から恵比寿の同じビル内にある隣接した二つのギャルリーで個展の同時開催が始まる。〈tmh.SLEEP〉では『リラダンの消えた鳥籠』、〈LIBRAIRIE6〉では『十面体—-メデューサの透ける皮膚のために』というタイトルの、新作を主とする展示である。〈tmh.SLEEP〉のオーナー古田氏は、フィレンツェに長年留学して美的感性を鍛えた人物で、傑出した魔的なまでのハイセンスの持ち主。黒を基調とした空間は、巨大な鳥籠をイメージして作られているという。今回の個展のタイトルは、いささかそこに絡めたものがある。〈LIBRAIRIE6〉の佐々木女史は、シュルレアリスムに関連した企画展を集中的に開催しており、絶やさぬ微笑のうちに異界への通路が透かし見える謎めいた不思議な人物である。銀座の画廊によく見られる神経の通っていない展示、美意識の欠片もない空間、景気の動向は語れても、美について何も語れない画商・・・・。私における〈個展〉の意味のベクトルはそこから離れて、前述したような美の狩人的人物達との関係を強く求める傾向にある。展覧会は共に27日まで。

 

 

 

〈LIBRAIRIE6/シス書店〉『十面体—メデューサの透ける皮膚のために』

会期:2月9日(水)〜27日(日)
時間:12:00‐19:00(水〜土) 12:00- 18:00(日 )
休廊:月・火・祝日 ※都合により16日(水)臨時休業とさせて頂きます
会場:渋谷区恵比寿南1-14-12 ルソレイユ302
TEL/FAX :03 6452 3345 info@librairie6.com

 

 

〈tmh.SLEEP〉『リラダンの消えた鳥籠』

会期:2月9日(水)〜27日(日)
時間:12:00-20:00/月曜休
会場:渋谷区恵比寿南1-14-12 no.301
TEL/03-3716-6982 info@atelier-tmh.com

(各ギャルリーの営業時間が異なります。ご確認ください。)

 

 

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