『展覧会日記』

恵比寿での個展の前日、「tmh SLEEP」での写真作品の展示飾り付けは深夜にまで及んだ。オーナーの古田氏も私も1ミリ単位で作品の配置にこだわるため、安易な妥協など出来ないのである。

 

隣接した二つの会場での個展同時開催のためか、来場される方が絶えない。はるばる富山県立美術館・学芸課長の八木氏が来られ、滝口修造のデカルコマニーの本をプレゼントとして頂いた。又、写真評論家の飯沢耕太郎氏が来られ久しぶりの再会となった。飯沢氏は慧眼(けいがん)の人である。「被写体は、向こうからやってくる」—–飯沢氏が語るこの言葉には、首肯する実感がある。(飯沢氏からは詩集を含む三冊の興味深い著書を後日に頂いた。)又、写真展の題が『リラダンの消えた鳥籠』という事もあって、リラダン研究の第一人者である早川哲夫氏が来られた。早川氏は既に私の版画を数多くコレクションされているが、何と今回は三回来場され、じっくりと選ばれて,写真をコレクションに加えられた。更にどの作品をコレクションに追加されるか迷っておられる由。

 

そして今日は、写真家の川田喜久治氏が来場され、マチエールについて、写真のオブジェ性について、ダイアン・アーバスについて等々、貴重な御話を伺った。川田氏の写真集『地図』は日本の写真史における金字塔的作品である。写真展の会場には、川田氏から書いて頂いた鋭い詩的なテクストを掲示してあるが、来場者の多くがそれをじっくりと読んでいく。長年にわたって川田氏は、目映い光の中から魔的な毒を紡いでこられただけに、書かれたテクストは重要な指針となっていくであろう。個展は今月の27日(日)まで開催される。私の複数あるイメージの引き出しを同時に開いたこのような展示は、今後はなかなか無いであろう。「LIBRAIRIE6」でのミクストメディアとオブジェ、そして隣室の「tmh SLEEP」での写真の展示。一部屋移動するだけで一変してしまうイメージ世界を、ぜひ見に来られて体感して頂ければと思う。私も貴重な出会いを求めて、なるべく在廊している予定である。

 

 

〈LIBRAIRIE6/シス書店〉『十面体—メデューサの透ける皮膚のために』

 

 

会期:2月9日(水)〜27日(日)
時間:12:00‐19:00(水〜土)

12:00- 18:00(日 )

休廊:月・火・祝日

 

※都合により16日(水)臨時休業とさせて頂きます
会場:渋谷区恵比寿南1-14-12 ルソレイユ302
TEL/FAX :03 6452 3345 info@librairie6.com

 

 

 

〈tmh.SLEEP〉『リラダンの消えた鳥籠』 photo exhibition

 

 

会期:2月9日(水)〜27日(日)
時間:12:00-20:00/月曜休
会場:渋谷区恵比寿南1-14-12 no.301
TEL/03-3716-6982 info@atelier-tmh.com

 

 

*ギャルリーは同じ建物の中にありますが営業時間が異なります。
お間違えのないようにご確認ください。

 

 

 

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