『熱波の中での近況報告』

外出から戻ってみると、閉め切ったアトリエの中がかなりの高温になっていた。さてとと思い、クーラーのリモコンを捜してみたが、これが何故か見つからない。アトリエの中は本の多さに加え、オブジェの材料がかなり在り、その中に紛れて、杳として見つからないのである。既に5時間以上捜したが見つからない。例年はそうでもなくとも、今年はクーラーのリモコンは生命線の重みを持つ。このメッセージを書いた後に又捜すつもりでいるが、果たして見つかるのか否や?

 

ネットギャラリーを開設したが、予想を上回る反響に、開設の手応えを覚えている。私の作品のコレクターの方々からの注文もあったが、沖縄や北海道まで含めて、今まで個展を開催した事の無い地域の方々からの注文が入って来た事は本当に嬉しいことである。注文の際に、私の作品への感想も細かく書いて頂き今後の励みにもなっている。もっと作品の数を増やして欲しいという感想も頂いたが、今後の方向として考えていきたいと思っている、ともあれ、多くの方々に感謝を申し上げたいと思う。

 

十一月から福井県立美術館で私の個展が開催されるので、先日、館長の芹川氏と学芸員の野田氏とを交えて初の打ち合わせを行った。カタログに掲載するテクストの件も進んでいる。谷川渥氏(美学)、四方田犬彦氏(比較文化)、飯沢耕太郎氏(写真評論)、J・Colas氏(アルチュール・ランボー研究の第一人者)、川田喜久治氏(写真家)、野村喜和夫氏(詩人)、鶴岡善久氏(シュルレアリスム研究)、中村隆夫氏(美術評論)・・・・そして、私の最初の個展(24歳時)に見事なテクストを執筆して頂いた池田満寿夫氏の文の再録を含めると都合九名。各人とも当代一流の方々が記されたテクストだけに興味が深い。又、私自身の書き下ろし文も掲載する予定。

 

数年前にANAの機内誌『翼の王国』から執筆を依頼されてパリを訪れた事があった。もの凄い猛暑で、その日パリでは六人が死亡した日である。同行した写真家のAも私も、さすがにクラッときた。するとコーディネーターのKさんが既に用意しておいたらしく、私たちにサングラスを借してくれた。外人と比べ日本人の黒目は、もともと紫外線に強い(と言われている)。しかし掛けた瞬間に意識がスッと冷えたのには驚いた。脳の疲労は視神経からもくるのである。かつてはオシャレの道具であったサングラスは、今や有効な暑さ対処の必需品なのである。ぜひお薦めしたいと思う。もっとも街中が黒のサングラスで溢れたら、これも又、不気味ではあるが・・・・・。

 

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