『個展・最後の6日間に』

16日まで日本橋高島屋の美術画廊Xで開催中の個展も、いよいよ残り1週間となった。来客には外国人も多いが、今日は、パリのサンミッシェル街の画廊のオ-ナ-が来廊した。話をしていると、以前に私の作品がパリ歴史図書館での企画展に招待出品された折りに既に見て、私の名前を知っているとの事。今回展示している作品の価格が安いのに驚き、作品の質の高さを考えれば、パリでなら倍の価格でも十分に完売してしまう内容であるという意見をくれた。以前に私に手紙をくれた、パリのパサ-ジュの店主である、年長の友人―ベルナ-ルゴ-ギャン氏と同じ意見である。
 
確かに、作品の価格を、私は意識的に安く設定している。しかし私は若い人達の事を考え、彼らが入手可能な価格であるべきだという思いを強く抱いている。その事を語ると、それよりは、パリを含めた外国で積極的に展示すべきであり、私の可能性はかなり高いものがある、という意見を返してきた。 私の旧作の版画の数点は、複数でありながら、1点しか存在しないオリジナルの、私のコラージュや、オブジェの価格よりも既に高い。それを思えば、確かに彼らのアドバイスは一考に値するものがある。この問題は、しかし後回しにして、今は、美術画廊Xでの個展に集中したい。今回も新たなコレクターの人との出会いに恵まれ、作品が毎日、何点かづつコレクションされていっており、過去の7回の個展で、今回が最も手応えがあるものになっているのは重要な事である。画廊にいると、次の展開がかなり具体的に見えてくる。毎日会場にいるが、そこで自問して得るものは限りなく多いのである。

カテゴリー: Event & News   パーマリンク

コメントは受け付けていません。

商品カテゴリー

北川健次詩集『直線で描かれたブレヒトの犬』
Web 展覧会
作品のある風景

問い合わせフォーム | 特定商取引に関する法律