『日記抄』

23日正午に福井駅に着く。出迎えてくれた福井TVの山内氏らと共に昼食、打ち合わせの後、車で豊かな自然が残る勝山へ行く。番組の撮影地である中上邸(磯崎新による設計)に入って驚いた。瑛九の晩年の大作2点他、オノサトトシノブ等の作品がズラリと掛かっている。ゆうに5千万以上はするであろう。すぐに収録開始。「瑛九の晩年の主題は光との合一。しかしそれは印象派の光の分析や頌(オード)とは異なり、末期の眼が捉えた心象と見ていいのではないだろうか・・・」などと、約40分程インタビューに答える。放送は正月頃らしい。収録後、小コレクターの会の精神を引き継いで活動しておられる荒井氏の御厚意で鮎料理や寿司を頂く。極めて美味なり。荒井氏からデモクラート運動についての貴重な話などを伺う。

 

24日9時に福井県立美術館へ。来秋の個展のための会場の下見である。11時に福井を発ち,京都で個展開催中のギャルリー宮脇に着く。早くも数点の作品に購入の予約あり。京都精華大の生駒氏、京都造形大の藤井氏ら来廊。夜にイタリア料理を頂いた後、宿舎のパレスサイドホテルへ。外人多し。幽霊は遂に出ず、残念。

 

25日早朝、ホテル前の蛤御門に行き、門に今も残る禁門の変時の乱戦の証しである弾痕に触れながら勇猛の士・久坂玄端に思いを馳せる。9時にホテルに立命館大の平尾氏来る。平尾氏とは20年前の留学時にバルセロナの宿で知り合って以来、長いお付き合いの友である。タクシーで平尾氏と共に一乗寺詩仙堂そばの金福寺に行き、与謝蕪村の墓と芭蕉庵を見る。墓から一望する京の街の眺めはすばらしい。この寺には、井伊直弼の愛人で、安政の大獄で多くの志士を死に追いやる活動をした村山たか女の遺品も多くあり、私を驚かせた。

 

平尾氏と画廊に行くと、また新たな購入予約が入っていた。先日、はるばる大阪から東京の私の個展を見に来られ、再び京都の個展にも来られたというMさんが購入されたのである。Mさんは未だ20歳を過ぎたばかりの若い女性。幅広い世代に渡って私の作品は支持されている。これは表現者にとって実に重要な意味を持つ。コレクション頂いた全ての皆さんに感謝を捧げたい。夜半に横浜に帰る。
北川健次新作展〈目隠しされたロレンツォ・ロットが語る12の作り話〉

ギャルリー宮脇
9月23日(水)〜10月17日(日)1PM〜7PM (月曜休廊)
京都市中京区寺町通二条上ル東側 /tel.075-231-2321

 

 

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北川健次詩集『直線で描かれたブレヒトの犬』
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