『迷宮の愉楽ーヴェネツィアに』

10月6日(水)、名古屋の電気文化会館 ザ・コンサートホールで、夜の7時から馬場駿吉氏の連句による『迷宮の愉楽ーヴェネツィアに』が開催される。馬場氏は名古屋ボストン美術館館長で美術評論家であると共に、秀れた俳人としても知られている。その馬場氏の連句『水都孤遊ーアンリ・ド・レニエ頌』に、作曲家として国際的に活躍するマリーノ・バラテッロ氏(ヴェネツィア在住)と、現代音楽作家の水野みか子さんが作曲した新作の世界初演がなされるのである。演奏はマリーノ・バラテッロ本人の指揮で愛知室内オーケストラ。又,ソプラノはロリアーノ・マリン、テノールはフィリッポ・ピナ・カスティリオーニ(共にヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場を拠点として活躍中)の歌が花を添える。そして、私が〈映像〉として参加する。

 

2009年の2月10日、私は厳冬のヴェネツィアに着き、その1週間後に馬場氏がヴェネツィアに入った。私は主に撮影、馬場氏はこの地に句想を求めての旅であった。先日の高島屋の個展で発表した写真は、約1000枚近く撮った内の極一部に過ぎない。私は写真を全て収めたCDを馬場氏へお送りし、氏の選択にそれを委ねた。一点自立としての写真の発表とは異なり、馬場氏の俳句、そして音楽が加わる際には、私の写真は全く別な意味性を帯びてくる。私は5日のリハーサルに立ち会うために前日に名古屋へ行き、そこで初めて、自分が撮影した写真が巨大な映像となっているのを目にするわけで、今、次第に興奮と興味が高まって来ているのである。京都のギャルリー宮脇に続き、名古屋のMHSタナカギャラリーでも4日から私の個展が開催されるので、先ずはギャラリーに行き、それからリハーサルに行く予定になっている。10月6日の夜、名古屋にヴェネツィアの幻想の魔的な花が妖しく咲くであろう。

 

 

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