『個展・富山・ぎゃらりー図南①』

富山のぎゃらりー図南で、今月13日(土)から私の個展『目隠しされたロレンツォ・ロットが語る12の作り話』が始まる。東京・京都・名古屋で同名の個展を開催して来たが、各々の画廊によって展示内容が全く異なり、その度に新作が加わるという、云はば変容する個展である。そしてぎゃらりー図南が、この謎めいたタイトルを持った個展の最終展示 — 云はば「取り」となる。

 

 

 

オーナーの川端秀明さん御夫妻とのお付き合いも、もう何年になるだろうか。版画集の刊行記念展をして頂いてからだが、初めて御会いした途端、とても話が合い、まるで30年以上の旧知のような印象を覚えてしまった。個展とは、作者と画廊主とで築き上げるコラボレーションの共奏である。だから、この印象の覚えは、間違いなく幸福な出会いであるといっていい。以前から川端さんについては何度か書いてきたが、川端さんの資質の中でも私が最も信頼している好きな点は、批評眼の確かさと、ギャラリストとしての仕事に強いプライドを持っている点である。だから展示自体に創造性があり、再考を何度も重ねて最終的に決定された画廊の空間には、凛とした緊張と品格が漂っている。人は同じレベルの人と結局は結ばれていく。—–その意味で、川端さんの画廊に来られる方々も又、確かな自分の眼を持った人達が多く、ゆえに私は毎回個展の初日に富山を訪れて、再会し、語り合えるのをとても楽しみにしているのである。

 

 

私は最新作の中でも自信のある作品を選んで今回の個展のために出品した。手応えのある展示、それを見る人達、そしてコレクションを決められる人達、そして川端さん御夫妻、——–画廊には暖かい人柄の方々が集われるが、プロフェッショナルとしての力量がいつも厳しく問われる場でもある。だから、やりがいもあるのである。車窓から眺める秋の日本海はしんと静まった叙情に充ちているであろう。また大切な思い出が、ぎゃらりー図南での個展を通じて生まれていくに相違ない。

 

 

 

ぎゃらりー図南
富山市西大泉17-20 第二浜忠ビルB1
会期:11月13日(土)〜28日(日)
AM10:00〜PM6:00 月曜休廊
TEL/FAX 076-492-5850

 

 

 

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