『書評という反響』

七月に刊行した拙著『美の侵犯 ― 蕪村 × 西洋美術』の書評が、この九月に入ってから各紙・誌で目立って書かれるようになって来た。作者として何より嬉しい事である。先月は共同通信社から書評が各紙に配信され、産経新聞では美術評論家の中村隆夫氏が書かれた。そして九月は美術新聞や雑誌に載り、『現代詩手帖』、来月は『婦人画報』『俳壇』などに書評が載る予定である。わけても『俳壇』は俳句に関わっている全国の俳人たちが読む本なので、私としても興味深い。『俳壇』に長文の書評を書かれたのは、短歌の第一人者である水原紫苑さん。評論においても優れた慧眼の人であり、私は今から楽しみにしている。

 

今回のメッセージでご紹介したいのは、今月の14日に東京新聞の書評欄に、俳人で文芸評論家・また、出版社の深夜叢書の社主でもある齋藤愼爾氏が書かれた拙著への書評である。齋藤氏の人と作品については、吉本隆明倉橋由美子・相澤啓三・春日井建・宗左近・谷川雁・五木寛之・久世光彦…といった鋭い論客諸士が興味深い論考を書いているが、齋藤氏は私がその存在を強く意識している《眼の人》である。この本を出すにあたって、最も読んで頂きたい人として考えたのは、前述した水原紫苑さん、そして齋藤愼爾氏と久世光彦氏であった。亡くなられた為に、久世さんに読んで頂けないのは本当に残念であるが、この御二人に読んで頂き、しかも書評まで書いて頂けるというのは全く想像だにしていなかっただけに、今、私は望外の喜びと、強い手応えの中にいる。齋藤氏は今月末に出る『出版ニュース』でも書評を書いて頂いた。こちらは長文の書評ゆえに、私は今、嬉しさと共に、それを読む事の強い緊張の中にいる。

 

 

 

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