『個展も後半に・・・』

先日、個展会場に来られた美術評論家のA氏は与謝蕪村の大ファンだとか。蕪村と美術を絡めた本を一冊書く事を老後の楽しみにしていたらしいが、しかし、私が既に連載でやってしまっているのを知り失意の様子を浮かべていた。老後の楽しみかぁ。拠り所など何も無い崖っぷちで才能一本で勝負している私には無縁な言葉である。更に云えば、濡れたようなリリシズム・人工美・魔界・怪しいエロティシズム・・・など多彩な引き出しを持つ蕪村と対峙するには、書き手もまた感性が旬でなくてはいけない。老後の楽しみで書くには、蕪村は難物すぎるであろう。

 

個展(20日まで開催中)も後半に入った。予想を越えたペースで作品がコレクターの方々に購入されていき、既に昨年の個展を上回った。来秋の高島屋での個展も早々と決まったが、来年のその頃は、福井県立美術館でも私の大きな個展が予定されており、また忙しくなるであろう。更なる試みの展開、更なる実験をやらなくては・・・。オブジェ・コラージュ・版画・写真。それぞれ等しくコレクションされていっている事は、私の信念と自信を深めてくれる。各々に秘めたイメージの核が確かに伝わっているのを、会場にいて実感出来るからである。16日は午前中に新潮社による作品撮影、20日は午前中にTV番組のための作品撮影であるが、それを外して、ぜひ未だご覧になっておられない方には見て頂きたい内容である。画廊から帰ると、休む間もなく作品の制作を行っている。次なる個展に向けて新たな表現を試みる日々なのである。

 

 

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北川健次詩集『直線で描かれたブレヒトの犬』
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